初恋の人の思いで

こんにちは

 

私にとっての初恋は、高校3年生 18歳の時

それまで、誰かを好きになるなんてことはなく

女子校だったせいもあるし、

学校が終わったら早く帰って家事をしなきゃいけなかったから

恋をするとか、お付き合いするなんて余裕はなかったんだろうな

 

それが共通の友人を通して知り合い、グループ交際から

登下校の電車が一緒だったことがわかって、毎日同じ電車で通ううちに

二人で出かけるようになって、彼から「彼女になってほしい」って言われ

それから7年お付き合いしたけど、親の反対もあり

お互い傷つけあって、別れてしまった

 

初めて好きになって、初めて心から信頼できて、わがまま言って甘えられる人だった

 

7年間の中で、本当に愛されてるって感じたのは

私が結核を患って、体重が40㎏近くまで落ちて咳もひどく、

即入院っていう状態になったとき

彼、どうしたと思う?

大学生だった彼、県外の大学で遠距離恋愛だったんだけど

「すぐに行く」

そう言って、連絡が取れなくなったの

当時は、携帯もなく連絡手段は

手紙と公衆電話だけ

二日たっても、三日たっても何の連絡もない

声だけでも聞きたい そう思っていた 

四日目が過ぎようとしていた日の夜遅く、

玄関で人の声がする

「こんばんは ごめんください ともちゃん 俺だよ」

えっ?! 耳を疑った

会いたいと思ってるから、幻聴かと思った

だって、彼は東北の大学 それもこんな夜に

 

玄関を開けると、そこには息を切らした彼が立っていて驚いた

「どうしたの どうやって来たの?」

「自転車」彼が指をさした先には、いつも彼が乗っていたママチャリがそこにはあった

 

「ともちゃんが、病気だって聞いたら じっとしてられなくて

電話を切ったあとすぐに自転車に乗って、でも遠かったぁ」

話を聞くと、電話を切ったあといてもたってもいられず会いに行こうと思ったんだけど

お金もないし、どうしようかと思ったあげく

道は続いてる! 自転車で行こう!! と思ったそう

 

一日目は、ただひたすら自転車をこぎ、地図を見ながら進んで

夜中、必死で自転車をこぐ彼を見つけたトラックの運転手さんが

「兄ちゃん、どこ行くの? そんなに必死になって」って声をかけてくれたんだって

そして、「病気の彼女に会いに行く。でもお金がないから、何日かかるかわからないけど、じっとしてられなくて自転車で行こうと思った」

そしたらね、「兄ちゃん乗ってきな 自転車は後ろの荷台に積んでやるよ でも途中までしか行かないから、その先は仲間に聞いてやるよ」って

映画のトラック野郎みたいな展開で、無線で協力してくれる人を探してくれて

サービスエリアで次のトラックに乗せてもらって

それを繰り返し、私の家までたどり着いたの

 

それからしばらく、私につきっきりで看病してくれた

「うつるから もう帰って」という私に

「俺は大丈夫 体育学部だよ 部活も毎日やって鍛えてるから そんなに簡単にうつらないよ。それに、俺にうつして ともちゃんが治るなら、うつしてくれ」

そう言って、家族が手を出す隙もないほどに手厚く看病してくれた

 

おかげで、思ったより回復も早く、私の状態が良くなったのを確認すると

彼は大学に戻っていった

もちろん、帰りは飛行機で

自転車は宅急便で送って

 

若かりし頃の、いい思い出だね